今回の帰省では、ひとつ、大きな目的があった。それは、高校時代の恩師に会って、近況報告をすること。
この先生は、私の高校1~2年の時の担任で、校内暴力で荒れていた中学校から上がってきて、真面目に勉強する習慣のなかった私を、ほめて、なだめて、伸ばしてくれた。この先生に出会ってなかったら、今の私はなかったかもって思うぐらい、私にとって、とても影響力のあった先生なのだ。
大学を卒業し、就職して、家庭を持って…。その折々に、いつかお会いして、感謝の気持ちを伝えたいと思いながらも、ずっとそのままにしてきた。それが、昨年末にあったクラス会に参加できなかったのをきっかけに、会いたい気持ちが強くなり、卒業以来初めて連絡を取った。そして、先生に会う前日、クラスメイトの訃報を受け取った。
1年前の同窓会では、クラスの取りまとめをしてくれてたT君。その後、病に倒れ、リハビリをして良くなってきたところだったらしい。高校時代からそれほど親しくしていたわけではないけれど、それでもやはり、突然の訃報には驚いたし、さびしい気持ちになった。
それと同時に、縁って不思議なものだなぁと思った。だって、ちょうど(って言ったら不謹慎だけど)私が帰省して、卒業して以来はじめて先生に会おうって日に、こんな知らせが来るなんて。
取るものもとりあえず参列したお通夜では、地元に残った何人かの懐かしい顔を見ることができた。場所が場所なので、込み入った話はしなかったけれど、あ~みんな、しっかり地に足つけて頑張ってるんだってことは伝わってきた。
翌日。久しぶりにお会いした先生は、すっかり白髪が増えておじいさんになっていた。それでも、話す口調はそのままで、「懐かしくて先生に会いたくなって…」というと、「それは歳をとったからや」と笑われてしまった。
喫茶店で1時間半、高校時代の話やら、先生のお孫さんの話やら、最近の高校生の話やら、いろんなことを途切れなく話した。結局、一番言いたかった先生への感謝の言葉はうまく言えずじまいだったけど、心が少し軽くなった感じ。会えてよかった。
高校卒業と同時に故郷を離れ、ずっと疎遠だった地元との縁。ほとんど存在すら忘れかけていた縁だけど、その気になって手繰り寄せると、ちゃんとそこにあって、昔と変わらず迎え入れてくれる。そのつながりはとても懐かしくて心地よい。
こういう感覚、昔はなかったんだけど。先生の言うとおり、歳をとったのかもしれないな。
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